『全部読むのが当たり前』というところから、ちょっとだけ歩み寄るそのさじ加減

BtoB ビジネスの Webサイトを、アクセス解析に基づきつつ、ヒューリスティック分析を行う場合によく出る話は『この詳細情報ページは長すぎて離脱しています』というものです。
『本気で知りたいヤツだけ読め!これ読まないヤツは客じゃない!』という、頑固親父的な Webサイトも嫌いではないですが、それは極論ですから、もう少し歩み寄りは必要だと思います。
かといって、何でも歩み寄ればいいというわけではありません。歩み寄りすぎると、目の肥えた見込み客からは浅いと思われたり、不要な問合せが増えたりしてしまいます。

このページが長すぎる、文章量が多すぎると行ったことを判定するには、何を見たら良いのでしょうか?

一見、読まれているかどうかは、平均ページ滞在時間で判断できると思われるでしょうが、知りたいことが明確であれば、流し読みで理解してしまう可能性もありますし、全部律儀に読んでいるといっても、常に苦痛を感じていた可能性もあります。もっといえば、ページを開いてコーヒーを淹れに行っていた時間まで含まれた数字です。
平均ページ滞在時間は、長いことが問題なのかについて確実な判断ができる指標とは言い切れません。

より適切な指標は離脱率です。
離脱率は、このページを見て不要と感じた方の数と言えます。離脱率が高ければ、そのページに問題があると考えるのは、多くの方にとって異論の無いところかと思います。
ただし、離脱率が高いだけでは、ページの長さが問題であると断定できません。
離脱率の見方をちょっとひねることで、ページの長さが問題になっているかをうかがい知ることができます。

あくまでも、デバイス別に異なる集客戦術を採っていない、レスポンシブウェブデザインのように、内容がデバイス別にそれほど変わらないことが前提ですが、PC と Smartphone の離脱率の対比を行うという方法です。
歩み寄るべき(つまりはページの長さや文章量を改善すべき)ページの特徴の一つに、「PC の離脱率 >= Smartphone の離脱率」となる傾向があります。

サービス・製品の情報などを説明する詳細ページは、代替するページがサイト内にあるわけではないので、訪問者はここを避けて検討を完結できません。ここで、デバイスの差である読みやすさの限界値が離脱率の違いに表われるのが一般的です。
もちろん、長文は Smartphone より PC の方が読みやすいので、 “PC の離脱率 < Smartphone の離脱率” となるはずなのですが、Smartphone と PC の離脱率が変わらない、あるいは高いという状況は、真剣に検討している人を以てしても、読むに堪えないという事を示しています。

ページ平均滞在時間が長いから良いではなく、離脱率が低いから良いでは無く、そのページを利用するデバイス間の差において歩み寄るべきかどうかを考えるのが比較的当たる確率が高い推定に繋がります。